ソフトバンク優勝で賑わう南の地方都市から今回もお届けする家相建築家、木本のコラムです。
このコラムも14週目でここを訪れる方は家相に少しは興味をお持ちだと思いますので今回は多少専門的な話をしたいと思います。
「端的にいって家相とは何ですか?」と問われた時に私は、「古(いにしえ)の建築基準法です。」と答えます。
家相は古代中国で生まれた陰陽五行説が日本の陰陽道として熟成され江戸時代中期に確立されました。
陰陽道といえば「陰陽師:安倍晴明」が若い人の間でも知名度が高いでしょう。これは夢枕獏の小説[陰陽師]がベストセラーとなり映画化も野村萬斎の主演で製作されヒットした所以でしょう。
夢枕獏氏はこのジャンルの伝奇小説を多く出筆していますが私も彼の著作はほとんど読んでいます。
この[陰陽師]は彼の代表作であり名作です。
彼の小説は他にも[神々の山嶺]という山岳小説の傑作があります。私はこの小説に深く感動し、登山など一切したことのない四十代半ばで近郊の「宝満山」という829mの山に家族と共に登って一週間足腰がふらついたいうような“可憐”な経験がありますが・・。
話を戻しましょう。安倍晴明は平安時代に活躍した実在の陰陽師です。
陰陽道は中国伝来の陰陽五行説に日本独自の思想を透過して確立されましたが家相はこの陰陽道を基本としています。
家相はこの起源からも解るように陰と陽の二元論に五行の生成変化を加味して、宇宙の陰陽生成と対峙し且つ融合する自然の一部としての家屋の在り方、環境との共存を説いています。
故に家相が吉相であれば建築学的にも吉相であり、人間工学的ににも吉相であるといえます。
勿論、斬新さや若手建築デザイナーが用いる奇抜なデザインとは拮抗するかもしれません。
例えば若手作家のデザイン住宅にありがちな中庭(パティオ)形式の家屋は家相では「主人不在の相」として凶相となります。
全方位360°を15°で24分割した方位には各々に象意があります。吉相ならばその象意は+に作用し凶相ならば?に作用します。
生老病死は人間としてこの世に誕生した以上は避けることは出来ません。家屋も、そしてそこを生老病死の根幹として居住する人間も又、宇宙の中のホロン(アーサー・ケストラーの提唱した全体子)であって対峙しながらも融合する存在です。
デザインとして家屋に非日常を持ち込む衒いを内在させた立場とは私は一線を画すものであります。
家相の目指すものとは家屋の日常性を追求し各方位の象意と融合させ吉相に導く事です。
そうする事により日々生成して変化を続ける人間の運気を家屋と供に上昇させてゆきます。その意味では「古(いにしえ)の建築基準法」というよりも「大いなる意思としての宇宙の建築基準法」といえるかもしれません。
今回、後半部分は私独自の家相の理解ですが多少難解と思われた方は御容赦下さい。次回はもう少し砕けた話をする・・かどうか、まあ乞うご期待。