住宅ローンの金利は変動型だと1%を切るのが普通の時代です。
十年前では想像もできなかったでしょう。
この低金利は、住宅購入者や住宅ローン保有者にとって大きな恩恵となっている、といえるでしょう。
3000万円を1%の金利にて35年返済で住宅ローンを借りた場合でも、35年間の金利は500万円強で済みます。
また、住宅ローン控除などの所得税優遇策と併せて利用されると、「実質金利ゼロ!」なんてこともありえるわけです。
このように大きな恩恵に見える「低金利」には、気をつけないと思わぬ「落とし穴」が待ち受けています。
それは「金利は刻々と変動する」ということです。
そんなの当たり前じゃないか?
そんな声が聞こえてきそうですが、変動金利型を選ぶ方は全体の70%を超えている、という事実もあるわけです。
変動金利型を選ばれている方で、「金利が変動する怖さ」を本当に認識していらっしゃる方がどれくらいいるでしょう?
日々住宅ローンの相談を受けている中で、とても心配です。
具体的にみてみましょう。
先ほどの例の通り、3000万円を1%の金利で35年返済で住宅ローンを組むとします。
そうすると、月々の返済は約8万5000円、35年間の返済総額は約3550万円となります。
もしもこれが固定金利であれば、実際もこの通りです。
しかし「金利が変動する」タイプの住宅ローンではどうなるでしょうか?
もしも「3年固定型」の住宅ローンで借りたとして、たとえば3年後にわずかですが「0.5%」だけ金利があがるとします。
すると、月々の返済額は約9万1000円で月々は6000円程度しか上がりません。
しかし、残り32年間の返済総額はというと・・・・・なんと、約3500万円!
返済総額は当初とぜんぜん変わらないのです。
3年間返してきたおかげで残りは2780万円になっていたはずなのに。
3000万円借りるのと返済総額が変わらなくなってしまうのです。
せっせせっせと3年間返済してきた月々8万5000円は、なんだったのでしょうか?
「住宅ローンが、減りませ?ん!」
これが変動金利のこわ?い「落とし穴」なのです。
「低金利」の恩恵を本当の意味で享受するには、長期的な展望に立った慎重な計画が大切ですね。
家族が住む、大切な家ですから。