よく受ける相談のひとつです。
さて。
借りることができる。
これはどういう意味合いが考えられるでしょうか?
主に2種類に分かれると考えられます。
ひとつは、「借りられるだけ借りたい」という前提。
もうひとつは「返せる範囲で借りたい」という前提。
前者は、「金融機関が自分に貸してくれる限界額を知りたい」ということ。
後者は、「自身の家計の範囲で無理なく返せる限界額を知りたい」ということ。
もちろん相談されればどちらも試算して回答します。でも、後者の相談のほうがあんしんして回答できる、というのが正直なところです。
では、それぞれの基準とは具体的にどのようなものでしょうか?
まず「金融機関が貸してくれる限界額」の場合、基準は金融機関のルールです。
この場合、「年収の一定割合まで貸します」という「返済比率」のルールが一番影響力を持ちます。
たとえばフラット35では、年収400万未満の方は返済比率30%以下、年収400万円以上の方は35%以下、というルールになっています。
このルールでいけば、年収390万円の方の借りれる金額は年間返済額117万円まで、ということになります。
また、年収400万円になると年間返済額140万円まで、となります。
年収では10万円しか差がないのに、年間返済額は23万円も差がでるわけです。
また返済期間も「80歳まで」となっていますので、44歳以下の方は35年間借りることができるルール、となっています。
一方で、「家計の範囲の限度額」の場合ルールは、家計の中で住宅ローンが占める割合、となります。
いいかえれば「その住宅ローンを返していきながら生活ができるか」という検討をすることになります。
実はこの試算、骨の折れる作業です。
なぜならば、家庭によって事情がさまざまだからです。
返済期間についていえば、住宅ローンのルールでは80歳まで返せるプランが出来るのでしょうが、家計で考えるとご主人が定年までの期間しか設定できないことも多いわけです。
そこで基準になるのが「今現在の生活」です。
賃貸に住んでいるのであれば、「現在の家賃」が一番参考になります。いまこの家賃を払っていて「楽」か「苦しい」か「ちょうどいい」かが「返せる住宅ローンの限度額」を知る大きな手がかりになります。
もし現在の家賃が「ちょうどいい」のであれば、住宅ローンの返済額はその額が「限度額」となります。
そして自身のライフプラン上の「返済期間」と併せれば「借りられる額」がみえてくるわけです。
「楽」と感じている人は「貯蓄額」や「交際費」などの一定額まで削ることで、その額の範囲は広げることができますし、「苦しい」と感じているのであれば「返済額」の想定を少しさげるべきだということがわかってくるでしょう。
いずれにしても「金融機関が貸してくれる限度額」を調べると同時に、「返せるローンの限度額」を確認して、借入額について慎重に検討することが大切です。
大切な家族が住む「家」ですから。