どうにか資金計画もめどが立ち、土地も決まった。
雑誌でみつけた設計事務所に設計を依頼して希望を伝え夢のマイホーム実現に一歩踏み出す。
事務所での第1回打合せ。
家族構成、職業、生活スタイル、希望間取り、を伝えて資金計画表の提示。
相手は所長と担当者、こちらは夫婦二人。
まずは第1回目という事で、所長もひと通りのヒアリングが済んだら雑談を交えながらのリラックスした雰囲気の中、話は進む。
「ところで一応確認の意味で聞いておきますが、家相は気にされますか。まあ程度の問題ですが。」
所長は過去に苦い経験がある。施主の希望は住宅雑誌でみた中庭のあるパティオハウスだった。
設計も進み模型にかかった時に、施主からの電話。
親戚からクレームがあり、その内容は家相だった。
「ダメだって言うんですよ、これじゃ鬼門も最悪だって。真ん中が抜けてるし主人が不在の相がでてるらしいんですよ。私は素人ですから当然プロである先生がそこら辺は考慮してくれると思ってたんですけどネェ。」
内心は<パティオハウスが夢なんです。>と夢を語ったのはどこのどいつダ、と喉元まで出かかったが、さすがは経営者、その言葉は腹にしまった。
結局はプランはやり直した。
そういう流行りのモダンな希望を言う施主であっても油断してはいけない。
どんな施主でも必ず家相について聞く事にしている。
家を建てるとなれば夫婦二人で決めても親兄弟や友人その他、とにかく外野からの声が聞こえてきます。
家相は日本人の精神性の中に深く根付いています。
正月に初詣に行けばおみくじを引いて今年の運気の吉凶をみる。
受験前の神社に詣でて合格祈願、七五三の祝い等々、家を建てれば地鎮祭、上棟式、竣工式、そして家相。
しかしプランに家相を取り入れるといってもそう簡単にはいきません。
そこで家相設計の専門家である私が、頭を抱えている設計事務所の所長さんに家相企画の秘伝をザックリと教えましょう。
新築を考えている施主の皆さんもどうぞ参考にして下さい。
「家相ザックリポイント」
1. 三所に三備を設けず。 三所とは鬼門(北東)、裏鬼門(南西)、宅心(中央部)を指します。三備とは便所、台所、玄関を指します。三所に三備を配す事だけは必ず避けて下さい。
2. 宅心に階段を設けず。 中央の宅心部位に階段を配す事は必ず避けて下さい。
3. 正中線四隅線に便器、浴槽の排水口、キッチンのシンクとコンロ、出入りの出来る外部開口部、その他不浄、以上の部位を掛けない。
4. 欠けを用いない。 欠けになるプランは避けて欠けを張りに転じてプランして下さい。
5. 吹抜けを用いない。 建築構造的にも剛床工法(根太レス工法)など地震時の水平力に有利な工法とは逆の脆弱な構造となります。
これだけです。たったこれだけを取り入れてください。
建築士の皆さんは、お解りでしょうが、要するに最大凶のネガティブ要因を消すという事です。
そうすれば自ずと家相は吉相に導かれます。