今だけ買い取り価格が高いの?
『太陽光発電で発電した電気が高く買い取ってもらえる』という話を耳にしたことはありますか?ワイドショーなどでもかなり騒がれた内容なので、一度くらいあるかもしれませんね。
これは、固定価格買取制度(日本版フィードインタリフ)という国の政策の特徴を簡潔に言い表したものです。
今回は、この固定価格買取制度についてお話したいと思います。
固定価格買取制度(日本版フィードインタリフ)とは
固定価格買取制度とは、【電力会社との電力売買契約開始から一定期間、太陽光発電によって発電された電気の買取単価を固定する】という制度であり、もともとはドイツを始めとしたヨーロッパ諸国で採用されていたフィードインタリフ(タリフとは買い取り価格のこと)制度を2009年度から国内でも実施したものです。
日本においては、買い取り価格が固定される期間は電力売買契約開始から10年間です。2009年にスタートした方は2019年まで、2010年スタートの方は2020年といった具合です。
また、固定される買取価格はその年度ごとに異なり、2010年度以前は48円/kw、2011年度は42円/kw、以後年度ごとに低下が予想されます。私達が電力会社買う電気は24円/kwですから、2010年度以前の制度であれば倍の単価で買取をしてくれていたという訳ですね。
一度は無くなった太陽光発電設置補助金の復活と、固定価格買取制度の導入によって、太陽光発電の経済性が高まり、その頃から多くのハウスメーカーなどでも導入を推奨されるようになりました。
東京電力:電気買取料金 http://www.tepco.co.jp/e-rates……dex-j.html
良いことばかりなの?
私達消費者にとって良いことばかりに思える制度ですが、実際にはメリットばかりではありません。
電気を高く買い取ることによる電気会社の出費は、電気の売値を値上げすることによってまかなわれています。ちょうど2009年~2010年にかけて、各電力会社ともに電気料金の値上げがあったと思いますが、それはこの制度によるものです。
ですから、太陽光発電をつける人にとっては良い制度であっても、それ以外の方には電気の値上げを助長する制度となっています。
固定価格買取制度の今後
ここからは私の意見も交えてお話しますが、この制度がずっと続いていくかというと、それは疑問符がつくところです。
たとえば、日本より先にこの制度を導入したスペインでは、太陽光発電の普及が予想以上に進んでしまったことで、買取の負担を電力会社がまかないきれず、赤字を出すまでにいたってしまいました。
また、太陽光発電の割合が増えてくると、天候による発電量のムラが大きくなってきますので、そのムラに発電所がどのように対処するのかという問題もあります。
今後、余った分ではなく、発電された全ての電気を買い取るという『全量買取制度』の導入も検討されていますので、そのあたりの影響も踏まえて、制度がどうなっていくのかは見守っていく必要があると思います。