いらないものは処分して、余計なものも減らし、家の中をすっきり片付けたい、と思っている方は多いですね。
でも、いざ片付け始めると、捨てる決心がつかなかったり、昔のアルバムを眺めてしまったり、ひょっこり出てきた本を読み始めてしまったり、なかなかはかどらずに一日が終わってしまった経験はないですか?
普段の生活の中で、子どものプリント、毎日届く郵便物、どんどんたまる書類、それらが積み重ってしまい、あれもしなければ、これも出さなければ、と頭の中がそんなことでいっぱいになりがちです。
ダイニングテーブルに積み重なっている書類。よく見かける光景ですが、決して侮れません。その積み重なっている書類のせいで、本当に大事なことを考える余裕がなくなってしまい、充実感のない日々を過ごすことにもなってしまうのです。
物理的に散らかっている状態は、自分の頭の中がいっぱいで混乱している状態でもある、と言われます。インテリアの仕事をしていても、部屋はその人自身を映す鏡でもあると感じることが多々あります。
ハイセンスな部屋や豪華な部屋が必ずしも素晴らしいということではなく、その人らしい部屋で、こざっぱりとしている部屋に住む人は、イキイキとしていて、人生そのものが輝いていることが多いのです。
自分の人生を構成している様々な要素を整理することで、何が必要で何が不要なのかが見えてきます。溜まってしまったものを手当たり次第に捨てても、一時的にはすっきり感を得られても、その状態が長くは続きません。それは根本的な解決になっていないからです。
余計なものを手放すことは、自分自身のケアでもあるのです。それは大きく捉えると、「自分は、本当はどのように生きたいのか」を考えることであり、そこから満足のいく人生の第一歩が始まると言っても過言ではありません。
豊かで、ものが溢れる時代だからこそ、何を選択し、何を持つか。そして何によって自分が心地よくいられるのか。じっくりと考えてみましょう。
インテリアや収納を考えるのは、その後なのです。
不要なもののために、スペースを確保したり費用をかけることは、とてももったいないですよね。自分にとって必要なものが分かれば、自分らしいインテリアでまとめられます。お気に入りで心地よい空間ならば、メンテナンスも苦ではありません。いつも良い状態が続いているという、嬉しい循環が起こります。
家の中での主役は、そこに住む「人」であり、「もの」ではありません。本当に充実した毎日のために、まずはご自分が「どんなふうに暮らしたいか」をじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。