建物条件付土地の売買解除条件
トラブル
約19年前知り合いの不動産業者の勧めで千葉県の土地を購入しました。売主は不動産業者。家を建てる時はその不動産業者で建ててくださいという条件でした。
当時はバブルで東京地区では土地の値段が急騰しとてもサラリーマンの給料では家は建てられないと思える時期でした。当時千葉県に転勤する可能性もありまだ手の届く金額であったため購入することにしました。もし自分で家を建てなくなってもその業者が住宅を建てて売る計画があるので家を建てて売ってあげるから心配しなくてもいいという話でした。土地の売買契約書には建築条件付きと記載されていましたが、その業者の話ではその業者で家を建ててほしいので条件として入れておいたと説明されそれ以上の細かい説明はありませんでした。
最近になって建築条件付きの土地というのは宅地売買契約締結後3ヶ月以内に建物建築請負契約を締結しないと土地の売買契約は解除されるということを知りました。この条件を守らないとこの土地を売った不動産業者は独占禁止法違反にあたるようです。
転勤の予定もなくなったのでその業者に対して土地を処分(売却)してほしいと何度もお願いしてきましたがその都度今売ったら損をするといわれ続け現在に至っています。土地購入後業者からは建物請負契約を進める話は一度もなく業者で建物を建てて売る計画もいつのまにかなくなったようです。
購入した土地の建物請負契約は締結されておらず今後も契約が締結される予定はありませんのでこの土地の売買契約は契約の3ヵ月後に自動的に解除されていたと考えてもいいものなのでしょうか。まもなく契約後20年が過ぎようとしていますが建築条件付き土地の解除条件について何も説明しなかったこの業者に対して土地の契約は自動的に解除されていたので支払った代金を返せということはできるでしょうか。それとももうすでに時効が成立していて、その不動産業者に対し契約解除を主張することや契約時に建築条件付き土地の売買に関し条件を何も説明しなかった不動産業者としての責任を問うことはもうできないのでしょうか。
対処法
独占禁止法違反の点は、建築条件付き土地売買が抱き合わせ販売となる可能性があるため、契約をする際は、3カ月程度の期間内に建築請負契約を締結しないと土地売買自体を解除できる(解除される)との約定をするとの業界の自主ルールのことだと思います。自主ルールを守らないと独占禁止法違反になる可能性はありますが、契約自体の効力がそれによってなくなってしまうわけではありません。また、契約書で3カ月が経過した時点で当然解除となるとか、買主が契約解除できる、などの条項がなければ契約の効力を当然なくすこともできません。同条項がある場合は、条項の内容次第で、当然解除となっているなら、売買代金返還請求権を行使する余地はありますが、既に、5年ないし10年の消滅時効が完成している可能性があります。また、当然解除ではなく解除権を行使する必要がある場合でも、解除権の行使に対し、5年ないし10年の消滅時効を主張される可能性があります。いずれにしても契約自体を帳消しにすることは得策ではないように思います。あとは、立証の問題はありますが、業者が約束した「自分で家を建てなくなってもその業者が住宅を建てて売る計画があるので家を建てて売ってあげるから心配しなくてもいい」と約束したことに基づき、自分で家を立てなくなったことが確定したのが、最近のことであると主張し、家を建てて売却するように、との約束の履行を求め、その履行を怠ったことによる損害賠償請求をしていくことが考えられます。ただ、現実問題として、業者が建物を立てて売却した場合に、土地の値段がその分付加価値がついて高く売れるのかどうかは疑問もあります。お書きいただいた事情だけでは、なかなか難しい問題だなあという印象です。一度、弁護士と相談してみてはいかがでしょうか。じっくり話を聞くと、アイデアが浮かぶ可能性もありますので。
予防法
昔ながらの不動産屋の中には法律を疎んじる業者も存在します。売却の際には信頼できる業者かどうかを慎重に見極めるのが良いでしょう。
