9.屋根、外壁、基礎の状態
建物の外回りは、その後の維持管理を考える上でとても重要なポイントです。
日本の木造住宅は、20年から30年程度で建て替えが必要とよく言われます。その原因の大半が、木が水分を吸って、腐ったり、白蟻に食われたりしてしまい、構造体としての強度が失われることにあります。そうした構造体を守るのが、屋根、外壁等の「外回り」と言われているところです。
屋根にノーメンテナンスはありえない
まずは屋根の話です。最近の戸建住宅の多くは、スレート材を使用しています。スレート材とは、セメント板にアクリル塗装を施したもので、比較的安価で軽量なのが特徴です。スレート材は、表面の塗装が紫外線によって損傷をうけ、光沢がなくなり、表面がざらついてくると、再塗装時期と言えます。一般的には、15年程度が目安と言われています。
中古住宅では、必ず屋根の状態を見る様にしてください。光沢が落ちて、表面が錆びたようになっているのであれば、専門業者に見てもらい、再塗装を検討する必要があります。再塗装の際には、足場が必要な場合も多く、費用としては一般的な戸建で50万円?150万円くらいかかることも多いので注意が必要です。
屋根材については、スレート材以外にも、ガルバリウム鋼板、洋瓦、和瓦等々があります。ただ、一つ言えることは、「ノーメンテナンス」はあり得ないと言うことです。例えば、和瓦では、瓦自体の劣化は、ほとんどないにしても、強風、地震等による設置のズレ等は修正が必要となります。したがって、現地において、できるかぎり屋根の状態をよく確認しておく癖をつけてください。
外壁も雨漏りの原因に
次に壁の話です。一般的な戸建においては、サイディング、モルタルの2通りの外壁が多く使われています。サイディングとは、外壁に張る乾式の板状外装材です。素材としては、窯業系(セメント系)、金属系等があります。現在では、新築戸建の70%以上がこの外壁を使用していると言われています。
屋根と同様に表面材の状態も重要ですが、見るべきポイントとしては、サイディングの板と板の間のシーリング部分です。いわゆるコーキング処理をされている部分がどのような状態になっているのかを確認します。おそらく築後10年から15年くらいたつと、シーリング部分が紫外線によって劣化して、弾力がなくなります。ひどいものになると、カサカサ・ボロボロとなり、剥がれ落ちてしまっているケースもあります。そのような場合では、隙間から水が入り込み、雨漏りの原因となります。必ず現地でシーリング部分を確認するようにしてください。
モルタルの場合は、表面のクラックを確認してください。必ず表面にクラックはできますが、そのクラックがいわゆる「ヘアークラック」なのか構造的に問題があってのクラックなのかを確認する必要があります。表面的な割れである「ヘアークラック」については、心配することはありません。大雑把な見方としては、クラックにシャープペンの芯を差してみてください。表面的なヘアークラックであれば、1?2ミリ程度で止まります。しかし、何センチも中まで入るのであれば、構造的に問題があるかもしれないので専門家に確認してもらうのが良いと思います。
基礎は構造の最重要部分
最後は、建物基礎の話です。基礎は建物を支えているので、構造的に最重要といっても過言ではありません。現地では基礎の表面を見渡して、割れやひびがないのかどうかを確認してください。基礎は鉄筋コンクリートでできているので、表面的な「ヘアークラック」は必ずあると思います。ここでも、表面的なものなのか構造的なものなのかを簡便に判断するものとして、シャープペンの芯が活躍します。モルタルの時と同じように、芯を割れ目に突き刺して、貫通の度合いを見てください。貫通の度合いが大きければ、当然専門家を呼んで確認をしてもらうことが大切です。
今回は、建物の外回りの話をしました。建物を良い状態で長く持たせるには、外回りのメンテナンスが欠かせません。なるべく早め早めで手を打つことで、メンテナンス費用も結果的に安くなるので、購入した後も、外回りのチェックを定期的に行うことをお勧めいたします。
次回も、引き続き物件のチェックポイントをお話ししていきます。
少しでもお役に立てれば幸いです。