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皆さん 明けましておめでとうございます!
年が明けると、気持ちも新たになるものです。なかには『今年こそは家作りをするぞ!』という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな方のために、2012年最初の特集企画として今年の税制優遇・補助金を一挙に解説したいと思います。
はじめに:なぜ税制優遇や補助金があるのか?
そもそも、なぜ住宅には沢山の税制優遇や補助金があるのでしょうか?
それは、『住宅購入に優遇制度を設けることは、景気回復効果が高いと思われている』からです。
家を建てるということは建築業者以外にも様々な業者に仕事を作ることになります。例えば、家を壊す『解体業者』、廃材を引き取る『廃棄物処理業者』、庭を造る『外構業者』、他にも『電気屋』で家電製品を新調したり、『インテリアショップ』で家具やカーテンを買い揃えたり…、そういった経済効果を期待して、政府は様々な優遇制度を設けています。
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そういった税制優遇・補助金を主にまとめると、このようになります。
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結構な種類がありますね。
項目ごとに金額が異なるのはもちろんですが、ポイントは『タイミングによって受けられるかどうかが変わる』ということです。2013年以降も継続される予定のものがあれば、2012年で終了予定のものもありますので、注意が必要です。
それでは1つずつ順番に見ていきましょう!
住宅ローン控除:徐々に縮小するもまだ健在
住宅ローン控除とは、『住宅ローンを組んだ人の所得税・住民税を一部減らします』という特例措置です。
対象となるのは、
1.住宅の新築・取得
(床面積50?以上の注文住宅建築、床面積50?以上で築20年以内の建売住宅購入)
2.住宅の取得とともにする敷地の取得
(土地を買って家を建てる)
3.一定の増改築等
(床面積50?以上のリフォームをする)
のどれかを行うためにローンを組み、年末時点での残りローン年数が10年以上あった場合に、ローン残高に応じてその年の所得税・住民税が減税されます。
条件を満たす限りは最大10年間にわたって減税を受けることが出来るため、積み重ねると大きな減税効果があるのがこの制度です。
なお、減税額は『年末のローン残高』と『家の種類(一般住宅か認定長期優良住宅)』によって決められます。ローンを組んでいれば誰でも40万円の控除を受けられるというわけではありませんので、注意が必要です。
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また実際に自分が払っている税金以上の金額を引くことは出来ないため、年間の所得税と住民税の合計が20万円という方であれば、どれだけ多くローンを組んでも1年間の控除額は20万円となってしまうことも大切なポイントです。
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詳細は財務省ホームページをご覧下さい http://www.mof.go.jp/tax_polic……me/063.htm
不動産取得税の特例:2012年3月で終了か?はたまた延長か?
不動産取得税とは売買・贈与で土地や建物を取得したとき、また新築・増築したときに都道府県が課税する地方税です。
通常の場合では土地・建物ともに、
【 不動産取得税額 = 固定資産税評価額 × 税率4% 】
というような式で税金の額が決まりますが、現在は優遇措置があるため、次のような計算式になります。
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何だか複雑ですね。少しイメージが湧きやすいように例を出して計算してみましょう。
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優遇措置がなければ、本来の不動産取得税は、建物:60万円、土地:40万円のあわせて100万円だったわけですから、かなり大幅な優遇措置であることが分かります。
この優遇制度は2012年3月31日をもって終わることになっていますが、過去に何度も延長をされてきている制度ですので、今後の国会の動きに注目したいところです。
ちなみに、固定資産税評価額というのは『税金の対象となる不動産価値』として役所が設定をするものなので、仮に建物を2000万円で買ったとしても、その建物の評価額が2000万円とは限りません。
正確には役所の税務調査結果を待つしかありませんが、計画段階では実売価格のおよそ6割程度と思っていただくと実際の資金計画が立て易いです。土地の評価額は基本的にあまり変動することがありませんが、建物の評価額は3年単位で徐々に下がっていき、最終的には当初の2割程度に落ち着きます。
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※詳しくは各都道府県窓口までお問い合わせください。
固定資産税の特例:不動産取得税と同じく延長なるか?
固定資産税とは固定資産(土地・建物)を保有する人に対して市町村が課税する地方税です。不動産取得税との大きな違いは、不動産取得税が1回だけなのに対して、固定資産税は毎年払わなくてはいけないという点です。
通常の場合では土地・建物ともに、
【 固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率1.4% 】
というような式で税金の額が決まりますが、現在は優遇措置があるため次のような計算式になります。
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やはり複雑で分かりづらいので、実際の例で見てみましょう。
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2012?2016年の5年間は建物の固定資産税が通常の半額になっています。優遇措置が無い場合と比べると、50.4万円もの減税となります。
ちなみに、建物の優遇措置に関しては2012年3月31日までに完成した物件という期限付きですが、こちらの制度も不動産取得税のように延長される可能性があるため、今後の動きには注目していきましょう。
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※詳しくは各市町村窓口までお問い合わせください。(東京都23区の場合は都窓口まで)
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今までは税金の優遇制度についてお話してきましたが、この後は補助金についてお話をしていきます。最初は復興支援・住宅エコポイントについてです。
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復興支援・住宅エコポイント:被災指定区域かどうかで額が異なる
以前から、省エネ住宅を建築された方に、家電製品やエコ商品と交換できるポイントを発行する『住宅エコポイント制度』がありましたが、その後継として昨年の10月から『復興支援・住宅エコポイント制度』がスタートしました。
以前と何が変わったかというと、
住宅エコポイント:建築地に関わらず最大30万ポイント(太陽熱利用システムの場合は32万ポイント)を発行
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復興支援・住宅エコポイント:東日本大震災特定被災区域は最大30万ポイント(太陽熱利用システムの場合は32万ポイント)、それ以外の区域は最大15万ポイント(太陽熱利用システムの場合は17万ポイント)を発行
というように、区域によってポイント発行数が異なる点です。
被災地以外の方にとっては以前よりも縮小されている制度ですが、それでも 15万ポイント≒約15万円 と結構な大きさの補助額ですので、今年建築予定の方はチェックしておきたい制度です。
注意点は『工期』と『補助枠』。着工と2012年10月31日までに着工した建物でないと発行対象にならない上に、申請者が多い場合には先着順となってしまうため、エコポイントの利用を積極的にしていきたいという方は、早めに計画を進めていくことが大切です。
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※詳しくは復興支援・住宅エコポイントホームページをご覧下さい。 http://fukko-jutaku.eco-points.jp
太陽光発電補助金:急いで23年度補正予算をとるか?24年度予算が組まれることを祈るか?
震災以後、特に注目を浴びるようになった太陽光発電ですが、国からの補助金の歴史は古く1997年にまで遡ります。その後、補助金は2005年に打ち切られますが、その後2008年に復活。現在は『国からの補助金』と『市町村からの補助金(団体により有無、金額は異なります)』を受けることが出来るようになっています。
補助金の額は1kwあたり48,000円と設定されており、仮に補助金が受けられる目一杯の9.99kwという量の太陽光パネルを設置すれば、最大で479,520円という大きな額の補助を受けることが出来ます。
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現在組まれている制度は平成23年度補正予算分ですが、補助を受けるためには2012年3月31日までに太陽光設置業者と契約の上で、補助金の申し込みをしなくてはなりません。既に候補の建築業者を絞っている段階の方であれば十分に間に合うスケジュールだと思いますが、一から検討を始めるという方はかなり駆け足になってしまいますね。
24年度分の補助金がどうなるかはまだ未定ですが(例年では3月下旬に発表)、2008年の補助金復活以降は補助額の縮小こそあれど続いてきている制度ですので、24年度も継続されることを期待したいところです。
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※詳しくはJ-PECホームページをご覧下さい。 http://www.j-pec.or.jp/
エネファーム補助金:来年は未定だが続投に期待
『家庭用燃料電池エネファーム』にも設置補助金が設定されています。
同じく省エネ給湯器である、エコウィル(ガス)、エコキュート(電気)、エコフィール(灯油)の補助金は終了してしまいましたが、エネファームに関しては市場に出てから日も浅く、初期コストも高いため、国も支援を続けています。
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補助金額に関しては85万円とかなり大きいのですが、23年度分に関しては1月31日までに補助金の申し込みをしないといけないため、既に建築会社が決まっている方でないとスケジュール的に厳しいです。
来年度に関しては未定ですが、こちらも太陽光発電補助金とあわせて続投を期待したいところです。
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※詳しくは民生用燃料電池導入支援事業ホームページをご覧下さい。 http://www.fca-enefarm.org/sub……bsidy.html
まとめ:意識はしても振り回されすぎないことが大切
パッと挙げただけでもかなりの数の税制優遇・補助金が存在しますね。太陽光発電や各給湯器に関しては市町村で補助金が用意されている地域も多いため、国の制度と併用すればかなりのコストメリットを受けることが出来ます。
しかし、注意していただきたいのは『税制・補助金に振り回されすぎない』ということです。「優遇制度がなくなる前に家作りを進めないと損ですよ!」と強引に進めてくる建築会社の担当者も中には存在しますが、家作りにとって重視するべきポイントは税制・補助金だけではありません。家族の合意、子供の成長、仕事との兼ね合い、年回り(気にされる方のみですが)、・・・といった様々な要因を考慮した上で家作りのタイミングを決めることがとても大切です。
ですから、
「もともと今年建てる予定だったから、補助金に合わせてスケジュールを少し調整しよう。」
「よくよく考えてみると、金銭的以外にも家族にとって良いタイミングなので前向きに検討しよう。」
という計画の決め方なら良いのですが、
「優遇制度のあるうちに、何が何でも建てよう」
という考えでは、計画に無理が生じ、失敗の種となってしまいます。
税制・補助金だけにとらわれずに、本当に家族全員が幸せになれるような家作りを是非進めてくださいね!