インターネット上で飛び交う家作りの質問を見ていると、最近は『分離発注』、『施主支給』という言葉をよく耳にするようになりました。しかしながら、ネットを見渡してみても、あまり十分な情報は提供されていないようです。
そもそも『分離発注』、『施主支給』とは何なのでしょうか?似たような意味なのですが、現在ではそれぞれ違った使われ方をしているようです。
今回は、『通常の依頼方法』と『分離発注』、『施主支給』の違いをお話していきます。
通常の依頼方法
私達が工務店やハウスメーカーで家を建てようと思うと、まずはその建築会社に所属する担当者(営業 or 設計)と打ち合わせをします。そして、建築会社が指揮を取って、大工、左官屋などを手配して工事を進めていきます。打ち合わせの窓口は建築会社の担当者だけになりますから、要望は全て担当者に伝えれば話が通るわけですね。
分離発注とは
分離発注とは、言葉の通り『建築工事を分けて発注する』ということです。
今から何十年も前という昔。工務店やハウスメーカーがなかった頃を想像してみて下さい。
家作りは今よりもずっと大変なイベントでした。施主は、大工、左官屋、基礎屋、板金屋…etc.とそれぞれに声を掛けていました。職人さんそれぞれが別々の組織ですから、工事に入るタイミングや、仕上がりの管理は全て施主が行っていました。
建築をはじめて行う素人の方が管理をするわけですから、当然のことながらとても大変ですね。そこで現在、分離発注を行う際には、経験のある設計事務所が現場の管理を行うことで、施主をサポートする形が一般的です。
施主支給とは
施主支給とは、言葉をそのまま解釈すると『部材を施主が支給する』ということになりますが、現在の使われ方としては、『基本的な工事は、工務店・ハウスメーカーなどの大きな窓口に依頼して、一部の工事項目を自分で手配する』という意味合いが多いと思います。
代表的なものとしては、キッチンや洗面台といった水回り関係の設備や、照明やカーテンといったインテリア品、解体工事や外構工事といった付帯工事の項目があげられます。
ひとえに家作りと言っても、依頼の仕方によってずいぶんと違ったものになります。
これから毎週水曜日のコラムでは、この『分離発注』・『施主支給』のメリット・デメリットや、成功させるポイントなど関してお話していきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!