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皆様の投票のお陰で盛り上がりを見せた楽住ブログ大賞でしたが、今回は見事大賞を受賞された『THE 中島邸 ?分離発注で挑む建築日記?』のこたちゃん様にお話をうかがってきました。

 

驚きと喜びの大賞受賞

 

―まずは大賞受賞おめでとうございます。

 
 

ありがとうございます。立派な賞をいただけて妻共々、喜ぶと共に、大変驚いてます。

皆さん個性的で中身の詰まったブログでしたので、まさか大賞はないだろうと思っていたので、本当に嬉しかったです。

 
 

―今日は大賞ブログの元になった家作りのお話をうかがいたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。

 
 

こちらこそ宜しくお願いします。

 

 

家作りのハードルその1:住宅業界の非常識な常識

 
 

―それでは家作りのきっかけから教えていただけますか?

 
 

私達は、住んでいた分譲マンションが取り壊しになることと、私自身が転勤となったことがきっかけで家作りをスタートしました。
土地から購入したこともあり、ドタバタの連続で大変なことばかりだったのですが、思い返すと大きなハードルが4つあったと思います。

 
 

―4つというと結構なボリュームですが、具体的にはどんなことだったのでしょうか?

 
 

はい。1つ目は土地を決める前の出来事です。
土地と平行して、ある程度建物の内容を詰めておこうと思い、ハウスメーカーや工務店を見て回ったのですが、家作りの現状が自分達のイメージと余りに違ったことで大きなショックを受けました。

通常買い物をする時には必ず商品と価格がはっきりした状態で買い物を進めます。同じように、”ハウスメーカー”という位ですから、ある程度しっかりした基本価格があるものと思っていました。まずは、しっかりと見積もりが出て、それに対してその業者で進めるかどうか決めるものだと信じ込んでいました。

しかし、実際に蓋を開けてみると、どの業者も見積もりが出る前に、『まずは契約してください』と迫ってきます。結局、契約前にしっかりと見積もりを出すという業者は一社もありませんでした。

 
 

―それでは、金額の検討をしたくても出来ませんよね。

 
 

そうです。始めはそんな状態でも間取りの打ち合わせを続けていてたのですが、間取りも自分達の要望に合うものがなく、規制の間取りに自分達の要望をあわせているような状態になってしまって、途中で『何かおかしいな。』、『これは自分達の考えた家作りじゃないな。』ということに気付きました。

夫婦で話し合った末、一度全ての業者を断り、一からパートナー探しをすることにしました。ちょうどそのタイミングで建築家との家作りを紹介する雑誌を目にし、建築家の話も聞いてみることにしました。

話をした建築家は15人以上いましたので大変だったのですが、色々な話を聞いているうちに、段々自分達の要望が出るようになって来ました。ようやく『このまま進めていったら建物は大丈夫かな。』という光が少し差して来ましたので、一旦建物の打ち合わせをストップして、土地探しを本格的にすることになりました。

 
 

―なるほど。それが1つ目のハードルだったのですね。

 
 

はい。そして2つ目のハードルに進みます。

家作りのハードルその2:なかなか見つからない土地

 


―2つ目のハードルはどんなことだったのでしょうか?

それは土地探しに関することでした。

土地探しをしだした頃は、それまでの建築家さんなどの話から、まあすぐに見つかるだろう、と軽く考えていました。最初はインターネットで探していたのですが、実際に探し出すと良い土地が全く出てくる気配が無い。やがて、インターネットに出る情報は売れ残りばかりで、本当に良い情報は載らないということに気付きました。

それから、不動産屋さんに足を運ぶようになり、不動産屋さんと土地巡りが始まりました。毎週末、足を運んでいましたね。

それでも、なかなか出ない。良い物件にはすぐに建築条件がついてしまいますし、足を運ぶ物件もがっかりするものばかりでした。

一度だけ希望の土地が出てきたのですが、即決が出来ずに迷っているうちに売れてしまいました。

『このままではいつまでたっても決まらない。』という危機感にさいなまれ、夫婦二人で話し合いをしました。そして、『次に良い物件が出てきたら即決しよう』という決意をしたのです。

そんな矢先、この土地の話が舞い込んで来ました。この周辺一体の分譲計画があり、この土地は売出しが少し先の予定でしたが、不動産屋さんに個別に交渉し、何とか譲ってもらうことが出来ました。

 
 

―2つ目も相当大変なハードルでしたね。

 
 

そうですね。何で家一軒建てるだけなのにこんなに大変なんだろうと思いました。

家作りのハードルその3:住宅ローンで足踏み

 

―そして3つ目のハードルですね。

 
 

そうです。今度は銀行ローンでつまづきました。

今回の計画は取り壊しをするマンションの売却で一旦ローンを完済し、新たな住宅ローンを組むという計画だったのですが、マンションが取り壊しになるという事例事態がかなりのレアケースだったので、銀行担当者も経験がなく、門前払いされることばかりでした。

話を持っていくと、必ずと言って良いほど『マンションのローンを一度無くしてから、相談に来てください。』という返答でした。銀行側も経験がなく、どう対応してよいのか分からなかったのでしょうね。

ちょうどこのあたりでは都市銀行の条件が良かったので、多くの銀行に声を掛けてみたのですが、結局全部断られてしまい、最終的にマンションのローンを組んでいた銀行に土地の仲介業者さん経由で話を通してもらうことでやっとお願いすることが可能になりました。

 
 

―なるほど。それでも何とか3つ目のハードルをクリアされました。そして次が最後のハードルですね。

 
 

そうです。最後がまた大変でした。

家作りのハードルその4:『はぐらかされる質問』と『合わない予算』

 


―最後の最後で大きなハードルが待ち構えていたわけですね。具体的にはどんな内容だったのですか?
                   
4つ目のハードルは、建築業者の最終的な選定です。

土地も銀行も決まり、後は建築業者を決めれば建築をスタートできる状態だったのですが、肝心の建築業者がなかなか決まりませんでした。

以前話をしていて、良いなと感じた候補の業者さんは有ったのですが、話を進めれば進めるほど、見えかけていたゴールが遠ざかっていきました。

例えば、建築の際に疑問を持ったことに対して建築家さんに聞くのですが、どの建築家さんも細かいことになると『それは私達プロが考えることなので、気にしなくていいんですよ』という返答ばかり。実際にそれでも進むのかもしれませんが、しっかりと私達の質問に答えてくれた方はいらっしゃいませんでした。打ち合わせのたびに、頭の中のモヤモヤが大きくなっていくような状態でした。

更に、予算オーバーした建築費用を抑えるために、ロフトをなくしたり、設備を削ったり、と我慢をしないといけないことも多くなっていきました。これでは、自分達の建てたい家は建たない。そう思うようになりました。

そこで、また夫婦で話し合い、打ち合わせをしていた建築会社を全て断ることにしました。

 
 

―それは一大決心でしたね。辛かったのではないですか?

 
 

ここまで来てのリセットでしたから、ショックもかなり大きかったです。

しばらくは何も考えられないような状態が続きました。

そして訪れる奇跡の出会い

 

―その後どうされたのですか?

 
 

 
ずっと立ち止まっているわけにも行きませんでしたので、しばらくして、とりあえず一番近い建築事務所に声を掛けてみようということになったのです。それが今回の家作りをしてくださった建築事務所さんです。

どうして一番近いところに声を掛けようと思ったのかは分かりませんでしたが、完全に思考停止の状態でしたので、そうするしかなかったのかもしれません。

しかし、いざ話を聞いてみると、想像以上に話が順調に進んでいきました。

理由は2つあったと思うのですが、1つ目は建築家さんの対応です。今までの人とは違って、こちらの質問にも一つ一つ丁寧に答えて下さったことで、とてもスッキリとした気持ちで話をすることが出来ました。

もう1つは分離発注というシステムでした。以前のハウスメーカーの時もそうでしたが、他の建築家さんとの打ち合わせでも工事費の内容など不明瞭な点があったのですが、それが分離発注というシステムの中で見積書を細かく出してもらったことで事細かに見えるようになりました。

一式〇〇円ではなく、初めてバルコニーの手すりが〇〇円、床材一枚が〇〇円、窓一個が〇〇円、大工さんの工賃が〇〇円というように、値段を明確に示してもらえたんです。頭の中にあった最後のモヤが晴れた気分でしたね。全ての契約書はこんなに分厚くなってしまったんですが…(笑)

そして、ようやく建築業者を決めることが出来ました。あまりにもスムーズだったので、今までの苦労は何だったんだろうと思いましたね(笑)。でも、きっと今までの苦労があったから、良い出会いがあったのだと思います。

 
 

―本当に大変な道のりでしたね。やっと今までの労力が報われましたね。

 

100%こだわりを実現

 

―ようやく依頼先が決まって、家が建ったわけですが、実際にお住まいになられていかがですか?

 
 

今の家にはとても満足しています。

リビングからの素敵な眺望、吹き抜けのある開放的な間取り、ビルトインガレージ、など、元々こだわりたいポイントは沢山あったのですが、それを全て実現することが出来たというのが本当に大きいですね。

それまで友人の話などから、家作りは必ず何かを我慢しないといけないものだと思っていたのですが、自分達の場合は全ての希望を実現することが出来たので、とても幸運だったと思います。

今の住宅業界を見ると、値段の不明瞭さを始めとして分かりづらい部分が多いと思います。そういった部分が原因となって希望を諦めないといけなくなってしまうこともあると思いますので、そういった点がもっと改善されて、家作りを楽しんで進められる方、家作りを満足できる方が増えたら良いなと思います。

 
 

―そうですね。本当に住宅業界が良くなって行けば良いなと思います。

 

家作りブログの良い影響

 

―ちなみに、家作りブログに関しても振り返っていただきたいのですが、ブログが家作りに良い影響を与えたことは何かありますか?

 
 

自分の日記として記録に残ることはもちろんですが、日々書き綴って振り返り、自分の中でこまめに出来事の整理を行えました。

公開の日記にすることで、読者の方からいくつかアドバイスもいただけました。

また、ブログでの公開は依頼先の了承を得ていますが、良い意味で緊張感も保てたかと思います。

今回のように賞をいただける事になるとは思いませんでしたが、これも良かった点ですね。(笑)

 
 

―なるほど。いろいろと良い効能があったのですね。これから家作りをされる方もブログを上手く活用されるとよいかもしれません。

最後に:読者の方へのメッセージ

 

―最後に、応援してくださった読者の方へのメッセージをお願いします。

 
 

沢山の応援ありがとうございました。

荒いブログで読みづらいかと思いますが、当時の生々しさを残すためあえて手を加えておりません。

これから家を建てる方々に、ドタバタ具合も含め情報をお伝えでき、参考にしていただけたら幸いです。

 
 

―今日は貴重なお時間ありがとうございました。

 

THE 中島邸 ?分離発注で建てる建築日記?(http://ameblo.jp/kotatsu-cat/)

 

編集後記

 

インタビューを通じて最も印象的だったのは、『自分達はやりたいことを100%実現できました。』と胸を張ってお話をされていたことです。

様々なハードルで幾度と無く心が折れそうになりながらも素敵なゴールに到達できたのは、こたちゃん様の家作りへの思い、ご夫婦のご協力、そして素晴らしい建築家さんとの出会いによるものだったと思います。

そういった強い思いのこもった家作りだったからこそ、ブログも多くの方に支持されたのではないでしょうか。

家作りに求めるものは人によって異なると思いますが、誰もが こたちゃん様のように家作りを心から楽しめて、満足のいく家を手にすることが出来るように、これからの楽住運営にも取り組んでいきたいです。

 

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