「変動金利で借りても、大丈夫ですか?」
「相談している銀行から、金利は当面上がらないから変動で大丈夫って言われているんですけどホントですか?」
こんな相談をよく受けます。
この相談の趣旨はふたつあると思われます。
「この先住宅ローンの金利は上がるのだろうか。」
そして
「変動金利ローンを利用することで自分が破たんすることはないか。」
ということでしょう。
前者の問いには「それは誰にもわからない」としか答えられません。
ただし、推察は可能です。
もしも上がるとしたら、どんなシナリオが考えられるか。
ひとつは「好景気」になる。
これは復興景気と消費税駆け込み景気が考えられます。
このふたつの特需により、住宅業界は久しぶりの年間100万戸を目指せるのでは、とも言われております。
そうなると建材や住宅設備や家電などの需要が増える。住宅関連企業の資金需要も増加し、金融発動も増えてくる。
住宅関連に限らずいろいろな分野で資金需要が増えてくる。
そうなると短期資金が活発となりその資金の需要が増えることで「短期プライムレート」が上がるかもしれません。
そうなると「短プラ」がベースになっている住宅ローンの金利は連動して上がってくる可能性があります。
もうひとつは「国債暴落」。
日本国債の資金繰りが何らかの状況でひっ迫すると、金利が上昇する可能性があります。
先日の朝日新聞では「一部の都市銀行が保有国債の売却シナリオをシミュレーションしている」という内容の記事がトップで紹介されました。
実はサブプライム問題のも「サブプライムローンが想定以上に焦げ付くかもしれない」とわかったとき、その証券を所有していた金融機関が投げ売り合戦をして、結果的に相場を暴落させてしまったのがきっかけです。
「日本国債がデフォルト(返済できないする)かもしれない」となったとき、保有している銀行等が投げ売りを始める。
とくに都市銀行等が保有している短期的な国債が暴落すると「短プラ」が上昇し、住宅ローンの金利も連動して上がる可能性があるのです。
最悪のシナリオとしてですが。
では、金利が上がらないまたは下がる可能性はどうでしょう。
現在金融機関にとって住宅ローンは主要商品です。
そのため各行が住宅ローン争奪戦を繰り広げているため「優遇金利」によりかなりの低金利ローンが提供されており、しばらくはこの状況はつづくものと思われます。
また、日本銀行による金融政策は「低金利または実質金利ゼロ」路線。
これも当分続くと思われます。
このファンダメンタル(長期的・大局的)な視点からは「住宅ローンの低金利は相当期間は続く」と推察されます。
さて。
この「上がる可能性」と「上がらない可能性」のふたつを組み合わせて考えていくと
「当面は金利の上昇はないが、景気上昇や政府財政政策失敗などにより大きく金利上昇する可能性も否めない」
ということがいえそうです。
「住宅ローンの金利はしばらくあがりませんよ。変動で大丈夫ですよ」
という言葉をうのみにするには不安材料が多そうな状況といえるでしょう。
いずれにしても、自分の収支・資産状況と金利動向をみすえて、賢く住宅ローンを選んでいきましょう。
※本文中の金利動向についてはコラムニストの個人的な意見です。金利の動向の判断については責任は負えません。ローンの借り入れや運用等についてはご自身の責任にて最終判断はしてください。